2007年6月8日金曜日

カネ余りに酔う国々、

モスクワの中心に一日中、明かりがともらないビルがある。建築工事が終わってから、かなり時がたつ。日が暮れると、街は夜の顔となり、周囲の建物は煌々と輝き始める。ひっそり一棟だけ、黒々とそびえ立つ姿は、どこか不気味だ。ビルは完成と同時に、ロシア企業が丸ごと買い取ったそうだ。入居者が少なくても気にする様子はない。不動産の値段が一年で約五割も上がったからだ。いずれも転売すれば、大もうけできると踏んだのだろう。札束を握った男女がポルシェやフェーラーリで走り回る。バブルに歓喜する新興経済大国の横顔である。(暗黒ビル)は東京でも増えている。こちらは新築ではない。歴史的建物が寂しく取り壊しを待っている。都心の再開発が進み、昭和初期に建てられた風格あるビル群の灯りが、次々と消えていく。郊外では、四十年を経たタマニュータウンで空き室が目立つ。少子、高齢化と都心回帰が、国の風景を塗り替える。投機が目的の高層住宅は上海にも多い。サンパウロでは、経済成長の十倍の速さで不動産の価格が高騰している。カネ余り酔う国々。子どもが減っていく日本。宇宙から地球を眺めれば、そろぞれの事情で(暗黒ビル)が点在する不思議な模様が見えるだろう。それは世界経済の歪みを伝えるサインかもしれない。
地球裁定、バブルを繰り返す国々、所詮、土地はタダなのに、

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