2007年4月15日日曜日

日本の原子力政策

この国の原子力政策は、まるで(賽の河原の石積み)を実演しているかのようだ。現世とあの世の流れる三途川。その河原で、子供が石を積んで供養塔を作っている。しかし、完成間際に必ず鬼が現れ、塔を壊してしまう。(賽の河原)は、そんな話で伝えられている。全国の原子力発電所で、トラブル隠しやデータ改ざんが相次いでいる。問題事例は450を超え、制御不能のまま原子炉で核分裂が連続する(臨界事故)の隠ぺいまで発覚、原発計画の停滞は避けられそうにない。信頼という石を積んでは崩し、崩されてはまた積み続けるー。電力業界は十数年、それを繰り返してきた。おまけに、この業界の(鬼)は常に、最悪のタイミングで現れる。茨城県のウラン加工施設で、国内初(当時)の臨海事故が起きたのは、関西電力高浜原発で、ウラン、プルトニウムの混合燃料を燃やす(プルサーマル)の始動が2カ月後に迫った1999年の秋のことだ。炉心隔壁のひび割れを、東京電力が隠していたことがわかったのは、新潟県知事が柏崎原発を容認したわずか1カ月後、2002年夏のことだった。
関電美浜原発で11人の死傷者事故が起きたのも、福井県知事がプルサーマル受け入れを表明した5カ月後の04年夏だった。そして今回。二酸化炭素を出さないことが環境政策の観点から再評価され、政府が昨夏、原発を推進する(原子力立国)
を宣言したばかりである。塔を崩す理由について、一部の地域では、鬼は(ゆがんでいて、みっともないからだ)と話すと伝えられている。原発計画が前進しそうになると鬼が出るのは、安全への信頼が、歪んで、きたからか。そこには、原子力の専門家
のゆがんだ常識が影を落としている。(経営陣に)技術的なことを報告しても理解できるはずがない、という雰囲気が現場にはある)臨海事故を起こした北陸電力のトップはこう述べた。(大したことはない)(事故の程度は自分が一番よく分かっている)。
専門家の誇りは自信に膨らむが、やがてそれが慢心に変わり、隠ぺい体質という不正の温床になったと言える。(賽の河原)
の言い伝えでは、最後に地蔵菩薩が現れ、鬼を退治することになっている。東京電力が過去数十年の関係者7万人から事情聴取をしたように、一連の事故隠しで、電力各社は過去例のない大規模な調査や点検えお行なった。それが地蔵菩薩を呼び込むきっかけとなって、隠ぺい体質を一掃し、問題根絶につながることを望みたい。やはり原発は、日本の環境、エネルギー政策に不可欠の存在であるはずだ。地球裁定、どうやら一部の国を除いて、世界は地球環境を叫び始めているようだが、原発に始まり、原発で終わる、おろかな人間がいるかぎり、我々は常に不安と背中遭わせだ。

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