2007年3月30日金曜日

アラブ首脳会議閉幕、和平案再始動で合意

サウジアラビアの首都リヤドで開かれていたアラブ連盟首脳会議は29日、イスラエルが全占領地を返還する見返りにアラブ諸国が対イスラエル関係正常化に応じるという自らの和平案に基づき、中東包囲和平を目指すことなどを盛り込んだ(リヤド宣言)を採択し、閉幕した。イスラエルは難民問題の取り扱いなどで和平案の修正を要求、同案がそのまま実現する可能性は少くないが、これまで停滞していたアラブ、イスラエル間の折衝が開催される見通しが強まった。
今回の首脳会議は、イラク戦争開始から4年たち、宗教対立、イランの台頭といったかつてない危機を背景に、アラブ諸国が中東問題の核心であるアラブ、イスラエル紛争の包括的解決に向けた自前の和平イニシアチブに立ち戻り、その実現に向けた真剣な努力を内外に公約した点に意義がある。イラク戦争以降、城内を覆う未曾有の混迷は、アラブ指導層の無力ぶりを際だたせ、大衆はますます為政者と乖離し、一部はイスラム過激思想やテロに傾倒した。この間、反米という城内での、正論、を貫いたイスラム教シーア派大国イランの影響力が増幅した。主催国サウジのアブドラ国王が開会演説で、(問題は、我々はなにをしていたのかにある)と痛切に訴えたように、アラブ諸国は少なくとも今回、(無為無策ではもはやすまされない)との認識で一致し、イスラエルへの外交攻勢に踏み切った。スローガンだけではなく行動を伴った和平攻勢を通じ、アラブ世界が求心力を見出すことができるのか、今後が注目される。この地域はアメリカが介入しているだけに問題は複雑だ、しかし、各国首脳陣に和平に向け行動することがなにより望まれる。

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